私の考える教育

学校でも会社でも「教育」は必ずあります。

 

会社では主に「社員教育」というものになるでしょう。

 

コンサルティングの仕事をするときに非常に重要視しているのがこの「教育」という面です。

これは何も偉そうに先生ぶって教えるということではありません。

 

 

教育とは「可能性を見せ、可能性を広げ、選択肢を増やし、選択をできるようにすること」だと私は考えています。

 

しかしながら現実には学校教育や社員教育というものは「知識の詰め込み」「マニュアルの詰め込み」となっています。

 

今回はこのテーマ「教育」について書きたいと思います。

 

 

まず始めに考えなくてはならないのが、日本自体の「教育」は「兵隊づくり」であるということです。

全員が同じ水準の知識や能力を持たせることで「右」と言えば全員が「右」に向き、「左」と言えば全員が「左」に向く、この教育のおかげで日本は一気に成長し、景気は右肩上がりだったことは言うまでもありません。

そして、私はこれ自体は間違っていたとは思っていません。

景気が上がり続け、人口が増え続けた時代には画一化された人間を作り、そこに独自の「気合と根性」を交えれば世界と戦え、勝ち抜ける会社が沢山あったことはある意味正解だったとも思っています。

 

しかし、知っておかなくてはいけないのは、その教育は“戦後スタイル”なだけで日本の教育の原点というわけではありません。

 

 

そして、「気合と根性」が使えなくなった(としておきますが)今ではただ教育水準が悪くないだけの人たちの集団となってしまったのではないでしょうか。

それを裏付けるように「気合と根性」のレベルが段違いの韓国に世界基準で負けている分野が多くなってきています。

 

 

少し余談ですが、海外駐在に関して、西洋では戦略を練りシステムとして駐在員を派遣し、誰が行っても上手く組織がまわるようにしますが、日本と韓国は「人」に頼り、その人に何とか成果を上げさせようとします。これは実際に私も経験したことですが、属人的な企業より戦略的な企業の方が圧倒的に強いものです。しかし日本企業が負けて撤退する中、韓国企業は「圧倒的な気合と根性」で戦略的な西洋企業に勝つことが多々あります。これは海外の駐在だけでなくM&Aでも同じことが言えます。

 

 

冒頭にも述べた通り、教育とは「知識の詰め込み」ではなく最終的に「選択をできるようにすること」だと考えています。

もちろん、そのために知識を入れてあげることは必要ですが、最初に可能性を見せて広げてあげなくてはいけません。

 

この人にはどんな可能性があるのかを考え、伝えなくてはいけません。

会社では「あなたはこの仕事を達成することでこんなチャンスがある」「この研修後には世の中で起こっていることがわかるようになる」など教育と可能性の広がりはセットで捉えなくてはいけません。

 

しかし、ここでも落とし穴があります。

 

それは「可能性がある」という認識だけでは結局はほとんどの人が何も行動できないということです。

 

周りに「仕事をやめたい」「転職したい」「もっと給料をあげたい」「独立したい」というような発言をする人たちがいたような経験が皆さんにもあるでしょう。

そして、その人たちは可能性があることも選択肢があることも知っています。

しかし、簡単に行動を起こせないのが実際のパターンと言えます。

 

ここで「行動したらいいじゃないか」「本気度が足りていない」「自分は行動をした」と思った方は要注意です。

組織を持ったとき、その組織が大きくなるとき、“普通の人”の行動が理解できずにつまづくことになる可能性があるからです。

 

 

行動を起こすのは簡単というのは行動を“起こした”人から見た心理です。

やり方を知っているのも行動を起こした人であり、教えることができるのもこの人たちだけでしょう。

 

 

学校や会社の教育では知識を教え、「可能性を教える」ことはできますが、「選択をできるようにする」ことはできません。

 

このことは一般的にも少しずつ根付いてきています。

最近では子どもに関する相談事は学校の先生ではなく塾の先生にする保護者が多いようで、塾の先生の方が社会人経験もありどちらかというと「選択をしてきた人」だからでしょう。

 

 

さて、組織において経営者やリーダーはどうしても「知識詰め込み型」の“教育”をしてしまいがちです。

それが即戦力になり、目先の数字に直結するからです。

しかし、そのせいでどんどんその組織でしか通用しない人材が出来上がり結果的に組織の成長を妨げます。

 

本来ならばその組織以外にも可能性があること、様々な選択肢があることを伝えなくてはいけないのですが、これも景気の良かった時代の弊害で「企業理念」に対する共感で入社した人たちはその企業以外の選択肢が頭にはなくなっています。(企業の理念による差別化の問題点については後日アップしようと思っています)

 

もし、皆さんがリーダーとして組織マネジメントをおこなう時は、

・今このステージがその人にとってどのように役に立つか

・どんな可能性が今あって、現実的にはどのようなことができるのか

・自分がどのように選択をし、どのように成功や失敗があったのか

こんなことをまずは教えてあげてほしいと思っています。

 

制約があると選択肢が減るため、「現実的に」ということが大事になります。

ただの可能性だけで言うと私がハリウッドスターになれる可能性もありますが、現実から離れているため何をしたらいいのか、またはするべきことが多すぎて選択ができないという状況に陥るでしょう。

 

 

最後になりますが、古くからあるふたつの教育教授法として、孔子式教育とソクラテス式教育について触れたいと思います。

 

孔子式とは教師が教団に立ち正解を“教え”ます。これは学校のイメージに近いとお考え下さい。正解を知っているのは常に「教師」というもので、正解を教えるというものです。

一方、ソクラテス式とは教師も生徒も同じように考え、ディスカッションをしながら正解をみつけます。もちろん、教師の方が正解を知っている場合も、正解を“探す”ための手助けをするというものです。

 

これらはどちらが正解というものはありません。

しかし、年齢、ステージ、時代によって使い分けが必要かと思います。

 

マネジメント層向けということで言えるのはどちらにしても教えるという立場は必ず誰より「多くの知識」「多くの選択肢」を持つという心掛けをしないといけません。

 

 

教育に関しては色々な企業によってやり方は変わります。

しかし、詰め込み教育が今支障をきたしているのは間違いないでしょう。

 

皆さんが教育に関して工夫していることは何でしょう?

ぜひ教えていただければと思います。

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