あえて矛盾を起こす

経営ではあえて、矛盾を起こさなくてはいけないことがあります。

全体から見れば部分的には間違った方向、つまりは「最適な矛盾」をしないといけないことあるとも言えます。

 

そのため、

「組織一丸で全員が同じ方を向いて取り組んでいます!」

 

これは経営としては不健康な形になるということになります。

言い換えると、どんどん経営の首を絞めることになるということです。

 

 

今回のコロナ禍では数多くの中間管理職の人が右往左往しながら最適解を探していたことと思います。

その中で現場ではベストな方法を選択し判断された現場責任者の方もいれば、それを却下した経営者の方も多くいたようです。

 

経営者として部分を全体に合わせることは必ずしも一致しないということを7月勉強会でお伝えした回がありましたが、大事なことなので再度まとめてみようと思います。

 

 

 

さて、ビジネスでの全体最適とは何か?

 

それは「ビジネスの継続発展するために利益の最大化をはかる」というようなものでしょう。

 

しかし、それは組織が大きくなればなるほど全体に対して部分が合わせることで上手くいかなくなります。

 

それは、会社の方針が○○だから、横の部署が○○だから、上司が○○だから、と言ったように全体のことを考えて部分が(ここでは各個人や各部署などですが)合わせようとするとパフォーマンスを発揮できなくなります。(ご経験はありませんか?)

 

 

少し具体例を挙げますが、

会社が「コスト削減を方針として強く押し出したとき」に各部がどのように行動をとるかについてみていきましょう。

 

総務では会社で使用するボールペンを150円のものから100円のものに変更しコストカットをします。

人事ではこれから行う中途採用の給与を下げ、その代わりに理念や会社の行っている素晴らしい取り組みをおすことで良い人材を獲得しようと思います。

開発では、商品の材料のコストカットを実施し、機能的には今までと変わらないものを同じ工場ラインを使って作ります。

 

さて、これが全体に部分が合わせた形の経営となります。

 

どのように感じましたか?

「おや?」と思った方、「これでいい」と思った方もいたかもしれません。

 

これは会社の方針に沿って各部門が考え行動しているため誰も悪くはありませんが、業績が悪くなるのは目に見えています。

あえて挙げるなら経営者、役職者が悪いでしょう。

 

今回のケースでは総務は良しとして、人事として良い人材は集まらないでしょうし、顧客に直接関わる部分の材料費を下げることによって満足度が下がることは目に見えています。もちろん、営業は従来と同じ値段で売らなくてはいけないため大変な労力がかかる、もしくはクレームが起こるかもしれません。

 

分かりやすく大げさに話を作りましたが、実はけっこうどこの会社でも大なり小なり起こっている、これが「組織一丸の弊害」です。

 

組織を運営する場合、経営者はウソをつかなくてはいけません。

 

同じ例では、全体的には「コストカット」を方針としながら、

総務では「備品を安くしろ」と言い、

人事には「良い人材がいたら給料を倍払ってでも獲得しろ」と言い、

開発部門には「来年発表する新作をまずはいくらかけてでも作れ」と言い、

営業には「残業せずに全部売ってこい」と言います。

 

「社長のウソつき!」と言いたくなるかもしれません。

 

しかし、これは部分的にはとにかく全力で動かしながら、全体として調整をしていく、ある意味では矛盾を調整することが経営者として大事になってくるという例になります。

 

目先にコストは削減しなくてはいけませんが、会社は来年も再来年も続いていきます。

そのための人材や、売上はとにかく確保していかなくてはいけません。

会社としては「コストをカット」したいのか売り上げに対しての「コスト率」を下げたいのか、答えは明確です。

 

全員にわかりやすい言葉では「コスト削減」となり浸透しやすくなります。

「コスト率」と言えば伝わりにくいため経営者層の会議だけで“率”の話をしていることでしょう。

 

 

基本的に経営とは矛盾をまとめて全体の最適を狙うことにあります。

そのためには上記の例のように部分的には不最適なことしなくてはいけないこともあります。

 

各組織が同じ方向性で同じ方針のもとに同じことを考えて行った場合、必ず組織は衰退します。

 

それはパフォーマンスを最大限発揮できないからです。

 

言い換えると経営では様々な矛盾を“起こさなくては”いけません。

 

 

全体最適によって、部分的には不最適なこと、周りから見るとある部署やある人だけが“潰れ役”や“悪役”にならないといけなくなることもあるかもしれません。

 

経営者はそのときに必ずフォローをしなくてはいけません、組織が大きいなら間に立つ管理職がそれを説明してあげなくてはいけません。

 

もちろん、中には矛盾を“起こす”ではなく、単純に矛盾している経営者もいるかもしれません。

 

もし経営者がそういう場合は、皆さんができる方法があります。

自分のチームで成果のために矛盾を“起こす”というやり方を実行してください。

チームが小さいほど、実行しやすく成果も出やすいものです。

 

 

皆さんのビジネスではどのような矛盾があり、それはどのような目的があってしているものでしょうか?

 

今回はあえて矛盾を起こし、調整をすることで全体として健康的な経営ができるということが伝わればと思います。

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