横のお店ではクレームになるのに、自分のお店ではクレームにもならずに嬉しそうにお礼を言われる、これはなんでしょう?
いきなり謎解きからスタートしましたが、今回のテーマに関連します。
今回のテーマは「ビジネスのサイズ」
- ビジネスのサイズを決めておくことの重要性
- 実際あった出来事からトラブルを防ぐ方法
この2つについて話したいと思います。
昔から漫画ではあらわされていますが、何かしらの力で敵キャラのエネルギー容量がいっぱいいっぱいになって木っ端みじんに吹き飛ぶようなシーンをみたことありませんか?
物事には容量があるというものを表現しているのでしょうが、それと同じことがビジネスでも起こります。
ビジネスにとって容量とは、売上規模、会社の規模、従業員の数、お客さまの数など受け入れられるサイズです。
容量ではなく、サイズと表現するのは、S・M・Lといったように単純に区分しやすく、実践する際に頭で整理しやすいと考えているからです。
色々なものに応用できますが、今回の「規模」を考えるときは細かい数値より、おおざっぱにライバルはXLサイズで経営しているからうちはLサイズでいけるか考えよう、というようにカテゴリー分けしやすくすることにより判断が速くなります。後述しますが、細かく数字を考えることより対策を考えることが非常に重要なため、サイズで考えることをおすすめしています。(しかし、はじめのサイズ選定で判断の間違ってしまったり、お金にあてはめてしまうと「どんぶり勘定」になりかねないので注意してください)
少しそれてしまいましたが、ビジネスサイズと対処について考えていきましょう↓
まず、「ビジネスのサイズを決めておく」というのは、経費や人について予想を立てておくと誤解されがちですが実は少し違います。
起こるだろうトラブル・問題点を事前に全て把握しておくということです。
これは店舗経営でよくあることですが、一生懸命まっすぐ取り組んだ結果、どんどん店の売り上げ規模が大きくなっていき、お客さまがひとりでは対処できない数になり、アルバイトを増やしたものの同じレベルの接客をできるわけがなく、最終的には「あそこのお店はクオリティが下がった」と言われてしまう。
これが店舗経営の盛衰、定番中の定番です。
もしも事前に、売り上げはここまで、顧客数はここまで、商品はここまで、と決めていたならば、その容量内で起こる問題点はある程度最初から分かっており、先にトラブルの芽を潰すことができます。
孫氏の兵法の「戦わずして勝つ」とはよく言ったもので、「こういうクレームが起こるな。そうなるとこういうことで手を取られるな」とわかっていれば事前にそうならないように作戦が立てられ、クレームが起こらないようにできます。
私が実際に使った「戦わずして勝つ」の具体例を挙げます。
私は過去にバイクショップでオートバイを販売していました。
目指していたサイズは
①地域で一番大きいこと(150台ほど常に店内にある状態)
②お客さまが平日もたくさん来るお店(仕事帰りに寄ってもらいたい)
③売上は年間3億円くらい(月2千5百万円くらい)
もちろん、細かい人件費や、仕入れ、売値など経営に関わる指標に関しては細かく計画を立てていましたが、サイズに関してはこのような感じでした。
さて、今まで車に乗ったことがある人ならわかるかと思いますが、機械製品は何かしらの理由によって故障する場合があります。
しかし、販売店側からすると、「故障するだろう」と思う箇所を全て交換は不可能です。例えば、ヘッドライトの電球や配線、全てを新品にすると安く販売できる中古のオートバイが新車より高くなってしまうというようにそもそも製品のニーズが変わってしまいます。
そこで私が行った「戦わずして勝つ」方法のひとつが、「故障する」と宣言することでした。
言葉だけでは無責任に感じるでしょうが、私が言ったセリフがこれです。
「中古のバイクなので全ての配線を外して新品に交換したり、まだ使える電球を新品に交換するようなことはしていません。ご自宅の電球と同じで今日切れるのか数年持つのか寿命がわからないからです。バイクなので振動で中には帰り道に切れることがあります。でも大丈夫ですよ、明るいうちならそのままUターンして帰ってきてもらったらすぐ新品に交換しますし、もし不安だったり、夜で暗かったら電球を持って助けに行きますので安心してくださいね。」
どうでしょう?
やはり、月に1回は帰り道で電球が切れてしまうお客さまがおられましたが、その全ての方が「店長の言う通り、電球切れてしまったわー、教えといてくれてありがとう」と決まって故障すると感謝されました。
このトラブルは小さいバイク屋さんだと「すぐ行きます!」と一時閉店して修理しにいくことができますが、例えば年間売上3億円を目指したときには下記のように非常に難しくなります。
想像してもらいたいのですが、自分が事前に予約して車検で預けている車を1時間ほったらかして工場の人がお客さんのところに行ってしまった場合、もしくは、営業マンが修理しにいくことで、残った営業マンが1人減った分、お客さまを対応しなくてはいけない場合、いずれもお客さまから「クオリティが下がった」と言われるに決まっています。
これはバランスが重要です。
小さい店なのに、大きい店のようなあっさりとしたサービスをしてはそもそも常連となるお客さまはできないでしょうし、大きいお店なのに小さいお店のようなべったりとしたサービスをしては機会損失を生むでしょう。
もちろん、徐々にサービスを下げていくというのがバランスがとりやすいかと思いますが、それも「事前にお店のサイズを決めておく」ことが重要です。どのサイズまでお店をするかわかっていれば、どのレベルまでサービスを下げるかが決められるため、やはり事前に対策が取れます。
決めていない場合はお客さまから「サービスが下がった」と言われてしまいます。
私が店長をしていたバイク屋さんでは、常連さまになるだろうという方に「来年はゆっくり話していられないくらい忙しくなると思うので、今のうちに色々お話し聞かせてくださいね、それと、〇〇さんバイク詳しいから別のお客さま紹介させてくださいね。」ということを言っていました。
そして、本当に次の年に忙しくなったら「あの頃は店長もゆっくり話してくれたのになぁ」とまるで自分が育てたお店のようにしみじみ言う人がいたり、「〇〇さんがバイク見せてほしいっていうから待ち合わせしてるんだよ」と常連さまどうしでお店で待ち合わせをされる方もおられました。
こうすることでお客さまもお店と同じように次のステージに向かうことができます。
もうお分かりだと思いますが、サイズを決めておくと全てそれに向かって計画的に進んでいきます。
それは中長期の経営計画というようなものではなく、「なりたい店の姿」に近いかもしれませんね。
小さい店舗経営ではたまに、常連さまが店主のようにお店に居座って「いらっしゃい」と言ったり、新規のお客さまを寄せ付けない雰囲気を出したり、大きいショールームでは、営業マンが常連さまから離れられずに機会損失を生むことがあります。
両者ともに「ビジネスのサイズ」を考えず「とにかく売れたらいい」「とにかく常連さまを大事にしないと」などゴールのない勝負に出た結果でしょう。
あなたのお店の目標設定は単純に「昨年度〇%上昇だ!」というようなものですか?
それともゴールが決まっていてそのサイズに向かっていますか?
一度振り返ってみると良いでしょう。
今回は具体的に営業トークを載せました。
バイク屋さんを例にしましたが、どの業種でもアレンジして使えるものです。
あなたの業種がお客さまとでも、同僚とでも、人と話すことがある仕事なら必ず使えますので応用してみてください。
何か取り扱ってほしいトピックなどがありましたらコメントをいただくか、フェイスブックページのメッセージ、もしくはインスタグラムのDMなどお気軽にご連絡ください。
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