経営者なのに経営が出来ないのは罪である。
そして、罰せられるのはいつもお客さまである。
私がいつも自らを省みるために心に留めていることばのひとつです。
経営が出来ないことは経営者として罪ですが、その人がお客さまにとって“良い人“とされている場合、より罪は深くなると考えています。
さて、私は店舗経営、そして会社経営に携わって15年ほど経ちます。
今まで数多くのライバル店が“潰れて”きたのを間近で見てきた立場にあります。
もちろん、中には戦略上戦って潰れた店舗や、知らない間に潰れていった店舗があります。
それらの中には比較的大きい会社が運営するチェーン店もあれば個人経営の店もありましたが、それらの店舗が、お客さまに喜ばれる存在ではなかったから潰れたのか。
そうだとは言い切れません。
どこよりも、お客さまに喜ばれている場合もあります。
それが経営、特にサービス業界にありがちな矛盾です。
彼らの店舗は「経営が下手」だから潰れたのです。
お客さまを満足させるサービスはすればするほど赤字に向かう
これは経営のルールとでも言えます。
お客さまの求めることを安い金額で求める以上に行う店舗は、お客さまから非常に愛されます。
その反面、お客さまが求めていることをすればするほど費用対効果を失い、資源が減っていくことになります。副作用とでも言えますが、潰れる可能性もサービスに比例してどんどん上がっていくのです。
では、ぼったくればいいのか?
それも間違いです。
お客さまがいくらなら満足して買ってくれるのか、
そしていくらなら会社は満足できるのか、
経営とは一部に捉われずに全体を見て、矛盾しながら行うものです。
皆さんの中には、この時期だからこそ、多くのお客さまに「頑張ってね」と声をかけられている方もいるのではないでしょうか?
そういうお客さまに愛される存在でいるためには、絶対に会社を継続発展させなくてはいけません。
そのため、必ずいつも問いかけてほしいことがあります。
「損をするような無理なサービスを行っていませんか?」
「他のメンバーが残業をしたり、負担が増える状況を作っていませんか?」
「その金額でないとお客さまは買ってくれないのですか?」
今までの経験で思い当たる出来事がひとつやふたつありませんでしたか?
今回は「過剰なサービス」についてを例にしましたが、経営判断は最終的に消費者である顧客に影響を及ぼすため、多岐にわたる経営判断も最終的にはサービスにつながることがほとんどです。
・人件費削減をしなくてはいけないと人を減らしたことにより、サービスが低下。顧客離れが起こり閉店。しかし、人件費削減後のサービスもマーケット内では上位のサービスを維持できていた。原因はもともとのサービスに慣れた顧客が満足しなくなったことであった。
これは実際に、私が出会った店舗であった出来事です。
覚えてもらいたいのは、
経営が下手であれば、お客さまに最高の場所を提供して、行き場所を失わせるという最低の行為をすることになります。
私は間近でそういう“被害”に合われたお客さまを何人も見てきました。
今も一度閉店したお店をオープンしたためにそのお客さまを“回収”しているところですが、経営判断や出口戦略ではない状態で店舗を潰してしまう経営者は顧客を作ってはいけません。
だからこそ、経営者は経営を学び、アップデートし、出口戦略を持って経営をしなくてはいけませんね。
私も一経営者として、いつも気を引き締めて考え続けなくてはと考えています。
もちろん、顧客だけではなく、働くメンバーにとっても継続発展する会社でなくては幸せな状態は維持できませんね。
そのためには経営者の成長はかかせません。
私も、皆さんのために今まで以上に成長をしなくてはと書きながら思った次第です。
ご意見、ご感想お待ちしております。
このblogすごく痛感させられます。
前のお店のときはすべて自分に任せて頂いていたので。
値段設定やサービス内容まで決めさせて頂いてました。
確かにその通りです。
満足してもらおうと思って、費用対効果を失ったときもありました。
僕は美容室経営でしたが、やはり他店が安く、多くのサービスをしていると。今のお客様がそちらに行ってしまうのでは?というのが頭を過ぎりました。
自分が取った行動は材料費率などを決めて、そのパーセンテージの中でできるサービス内容と割り切ってしまいましたが。
その時の自分はそれをするのが精一杯なレベルでしたね。
KODAI
KODAIさん、ありがとうございます。
経営者にとって、費用対効果や競合店、お店がなくなることは完全にひとつのテーブルに乗っていますが、お客さまにとってはまったく関係のない問題というのが、私たちの忘れがちな問題ですね。パーセンテージで考えるという方法は計算がしやすく予測しやすい方法なので、経営や管理をスタートした最初の段階ではおすすめですが、結局競合との競争からは抜けられないという同じ問題がやってきます。
「金額は原価から考えず“いくらなら買ってくれるか”から考える」という方法があります。定価があるのは高度経済成長期の名残という人もいますが、昔の日本や今のアジア各国でも人をみて金額を決めていました。それがベースで育った国の人と、定価の国の日本では交渉力が違うのは言うまでもないですが、それはさておき、美容業界にダイレクトに活かせなくとも国や地域、業種による金額とサービスについては調べてみると今後の大きな力になると思います。