売りたい≠買いたい

「物事には核があり、モノではなくコトを売ろう」というのは前にブログで書いたことがありますが、そもそも売るものが正しいかについて考えることも大事です。

 

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モノ→コト→その先

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今回のテーマは「自分たちの売りたいものとお客さまの買いたいものは違う」というものです。

 

 

原則、モノを売るビジネスでは多少の勘違いがあってもお客さまが核を決めることができます。

 

例えば、お店側の考える高級バッグの核は「満足感・達成感」としてもお客さまは「転売目的によるお金もうけ」を核としている可能性があります。

もちろん、本来であれば接客の中で「核」を捉え、それについてお客さまとの関係性を築いていくことが重要ではありますが、100歩譲った状態で、実体が実体としてあるものでは多少の勘違いは売上に大きくかかわらないことがあります。

 

しかし、成果や体験などを売るしビジネスではそもそも核をアピールして販売することが多く、その営業トークによってはそもそも売れない、もしくはクレームが生まれるということがあります。

 

例えば体験や成果を売るビジネスの代表に塾や習い事、レジャーランドなどがあります。

 

これの有名な話は森岡毅氏の『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』にあるエピソードですが、問題点はおわかりでしょうか?

 

 

USJの技術スタッフの腕は非常に素晴らしく、細部にまでこだわりぬいた装飾や塗装をしていたようです。そしてピーターパンの海賊船をリアルにボロボロの装飾や塗装したら「古くて汚い」と不評だった。

 

 

これに対する問題点は明確ですね。

 

こだわりが違う方向に向いてしまうというものです。

これに関しては技術やスキルが高い人ほど陥りやすいものです。

 

 

実はこの問題に対する解答のようなものをディズニーシーで発見したことがあります。

 

 

ひとつめは、マーメイドラグーンシアターという人魚姫のショーを行う場所の20分ほど待つ入り口です。

 

そこの天井にはピンクやブルーの淡い色をした気泡をイメージしているような円形の装飾があり、まるで海の中で待っているような感覚になります。しかし、その天井をよく見ると意外と「天井感」があります。暗くなっていますが、配管や配線などがしっかり見えます。

 

ふたつめは、タワーオブテラーという落下型のアトラクションの建物の裏側です。

 

これはディズニーリゾートの周りを走るモノレールに乗らないといけませんが、ディズニーシー内から見える装飾と比べるとかなり簡素な造りになっています。

 

 

限られた経営資源で、顧客価値を最大限に引き出す。

技術はあっても間違った方向性のこだわりをしない。

 

 

お客さまの買いたいものはどのレベルまでかというものを見極めた答えでしょう。USJの海賊船の例に挙げましたが、お客さま疑似体験はしたいですが「本当に古くて汚そう」だと引いてしまいます。バランスが非常に大事ですね。

 

今では天井をむき出しにした美容院などは「おしゃれ」と言われることがありますが、これもお客さまは「確かな技術」「綺麗になりたい」という“美容”院に対する要望の見極めによって成り立っています。

ちなみに天井をつける、つけないではコストが全く違います。

もちろん、年配のお客さまによっては「ケチっている」という方もおられるでしょうが、顧客層とニーズによってそういった判断を行っているのです。

 

良い例としては、駅の中にある「1000円カット」もお客さまの買いたいものを売っていると言えます。

満足をしてほしいならじっくり時間をかけてカウンセリングからシャンプー、ブローまでするのが良いのでしょうが、そういったものを一切やめて時間の短さを売りにしています。

それでお客さまは十分満足しています。

 

 

売りたいものに対して最大限の力を注がず、お客さまが買いたいもののレベルを知り、しっかり対応するということは今後のサービス業に求められるスキルと考えています。

 

サービスはすればするだけ赤字になっていきます。

それが競争の中であれば競合とともに沈んでいくことになります。

 

 

現在あなたがしているビジネスではどうでしょうか?作り手や売り手がしたいことはもしかしたらお客さまは期待していないことかもしれません。

 

「核」の考え方と同時に「バランスを取った技術の提供」これを見直してビジネスに取り組んでみてください。

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