不思議なもので、学生時代には「善」とされていたことが、社会人になったら「悪」とされるものがあります。それは特にリーダーや経営者になったら顕著にでてきます。
その中のひとつに今回のテーマである
「チームや組織は一丸になって同じ方向を向いて取り組んでいかないといけない」
というものがあります。
組織一丸、チーム一丸というのは良いのか悪いのか?
これははっきりと「悪い」と言えます。
組織一丸とはどういう状態でしょうか。
全員が同じ方向を向いて、同じ目標に向かって進むということで、理想的な会社のイメージがあります。しかし、組織のサイズにもよりますが大きくなればなるほど危険と隣り合わせになります。
それでは解説していきます。
例えば、経営者やリーダーが新しい方針を決めたり、会議で会社の方向性を決めたとします。
“理想”とされるのは、一致団結して方針にそってすぐ動くことですね。具体的には意思統一のミーティングをすぐ開く、商品開発をする、営業のロープレを行う、中には組織の編成を変える場合もあります。
一見理想的ですが、そこで考えてもらいたいのは「もし、その方針がマーケットとずれがあったら」ということです。
もし、経営者のマーケットの読みが悪く、間違った方向に進んだ場合、会社一丸となって崖から落ちて大事故ということになりかねません。
これは、ワンマンの会社やワンマンのチームでは非常によく見られる現象です。
会社内で考えてみてもらえばわかりますが「どうして、あれだけまとまったチームでリーダーも引っ張っていく力があるのにいつも予算を達成しないのだろう」というチームはどこの組織にもいますね。
その理由はこの「一致団結型」では全員が一致団結して全滅に向かっているからです。
では、逆に“駄目”とされるの組織の場合、その方針で全員が一致団結して同じ方向に向かおうとしますが、従わない人、頑張ってもついてこれない人、そもそも理解すらできていない人がいるのではないでしょうか。
こういう「バラバラ型」の組織はそもそも危険な事案になっても従わない人や理解できない人がいる分、全滅は免れられます。
「一致団結型」はリーダーがカリスマで成功に導き、成功すれば大きな見返りがあるようなベンチャー、中小企業、チームに多くみられ、「バラバラ型」は大企業や頼りないリーダーのチームに見られます。
どちらかというと、「バラバラ型」の方がまだマシですが、もちろんどちらも駄目です。
それは「意識してその組織を作っていないから」です。
会社は存続するために資金を回転させなくてはいけませんが、イチかバチかの勝負をするところではありません。そのため、リスクは常に考えておかなくてはいけません。
そこで私の解決策は「意識的なバラバラ型=スネーク型」です。
ヘビをイメージしてもらうと良いと思いますが、行きたい方向に頭は向かっていながら、体は全体の流れには沿いながらを綺麗に進みます。しかし、体のパーツを部分的にみれば右側を向いていたり、左側を向いていたり、後ろにいて遅れていたりとしています。
組織ではこの体の部分ごとに人がいて考える能力があるため、リーダーはこれを意識して作っていかなくてはいけません。リーダーが示した指針はに対して、ただ従わない人を作るのではなく、反対意見や別の意見の提案があるときは、その反対者には明確なゴールをまで筋道を立ててもらっておくことです。そうすることで、プランBというバックアッププランを用意することとが出来ます。そして、失敗したときはそれを遂行すれば問題ありません。そのときはこの反対者は準備はできているはずです。遅れてついてくる人はもともとついてきていないので右往左往しなくてもすみます。つまり被害は最小限、そしてすぐ方向の切り替えができます。
この話をある人にしたときに「リーダーがバックアッププランを作っておけばいいじゃないか」と言われたことがありますが、プランAで失敗する人のプランBなんて成功するわけがないとリーダー自身がはじめから認識しておかなくてはいけません。
逆の見方をすれば、あなたに上司がいる場合は、同じ方向を見ているようにしながらも常に頭ではプランBを考えるクセをつけておかなくてはいけません。その上で部下を右往左往させないように用意しておくべきでしょう。
もちろん、これは堂々と言ってはいけません。
組織の中で、上司や部下とされてる人には「組織一丸となってやろう!」と言いましょう。もし、あなたが経営者であれば引き継ぎたい相手や、組織マネジメントを学んでもらいたい相手にはこっそり教えるのが良いでしょう。
言葉通りの「組織一丸」は危険とお分かりいただけたでしょう。
「スネーク型」の一丸を意識して組織マネジメントをしてみましょう。
無意識にやっていた場合でも、今後成功した事例があれば教えてください。
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