日本のサービス業のレベルが年々下がってきていることを気づいている方は意外にも少ないのではないでしょうか。
私は勝てるサービス業を作ることが今後はビジネスモデルとして勝ち抜けるひとつと考えています。
何故、そのように考えるかというのをサービス業の変革とともに考えてもらいたいと思います。
また、マーケティング〇〇というように、マーケティングの世界ではモノやコトといった観点から言われることもありますが、私は今回「サービス業」に特化して考えたいと思います。
アパレルでもカフェでも良いと思いますので想像できる範囲で考えてください。
私の考えるサービス業の変革
- モノがあれば売れる
サービス業は基本的に小売りや飲食が多いかと思いますが、ずいぶん前、モノがなかった時代はサービス関係なしに「モノがあること」が売れる条件でした。
- 良いモノが売れる
そして、モノが増えてくると今度は「良いモノ」が売れるようになりました。
ここではまだモノが良いためサービスはいりません。
- 良い高いモノが売れ、サービスレベルが上がる
その後、日本では人口がどんどん増え、景気が良くなると良いモノはもちろんですが、同時に「良い高いモノ」が出て、サービスが重要になってきます。
- 良さそうな安いモノが売れ、サービスのマニュアル化が進む
また、同時に人口の増加はより大量生産で販売できるチェーン店が増え始め、「良さそうな安いモノ」が浸透、サービスにはマニュアルができ、サービスの二極化が進みます。
- 安いものがシェアを増やし、サービスレベルは低下する
そこから景気が悪くなることにより「安いモノ」がシェアを増やしてきます。もちろん、サービスのレベルは賃金とともに落ちます。
- モノは二極化し、サービスは低いまま
景気低迷が続くと、“勝ち組”“負け組”がはっきりし、所得の差が大きく出ることで、モノが「高いモノ」と「安いモノ」で二極化していきます。
しかし、マニュアルのサービスを受けたことしかない人たちがサービス業につくために、モノは二極化しながらも、悪いサービスをするサービス業が年々増えてきています。
これらが私の考える日本でのサービス業の変革です。
多少、独自の解釈があるかもしれませんが、大枠間違いはないでしょう。
プロがプロとなっていない現実
サービスのプロであるべき人が、プロになっていない理由は上記の変革で述べたとおりです。これは業態にもよりますが、安いものを大量に売る、もしくは、少し高いものを少し多めに売るだけでは十分な賃金を払えるわけがなく、最低賃金で「プロになれ」というのは間違っているでしょう。
もちろん、それ以前に「プロである」という認識の元で「アマチュア」が働いている現実があることを経営者は受け止めなくてはなりません。
高価格帯にいくべき
安いものを売ってサービスレベルを上げることは不可能という認識の元、少なくとも日本では圧倒的な大量生産、サービスレベルはマニュアル次第のチェーン店を除いては高価格帯に向かうべきでしょう。
適正な高い金額で十分な利益を出し、サービスに力を入れるという循環以外には今のところ日本のサービス業の勝ち筋はないと考えています。
中には、「良いモノをちゃんと出し続けて入ればお客様がくるじゃないか」という声ももらうことがありますが、その時点で見失っていることがあります。一般的な消費者にとって、「良いモノ」と「良さそうに見えるモノ」の差はなく、「良いモノ」と「普通のモノ」の機能差はほぼゼロに等しいのです。
成功事例
今回私が見ている飲食店を例に出して成功事例を見てみましょう。
このお店は人通りの全くないところにお店を構えましたが、売上を順調に伸ばしていました。しかし、オープンして1年経ったころ、より好立地にライバル店が出店してきました。そこから売上は上がらずに、今年に入ったらコロナの影響で閉店危機にまで陥りました。
もともと、悪い店ではなかったので立て直すことには成功しましたが、懸念点が出てきました。
- 顧客数の急激な増加でサービスの低下が起こらないか。
- 新たなライバル店が今後出てくる可能性がある。
このふたつの懸念点を解消するために、まずは値上げを行いました。しかしお客様の数は減る気配はなく、増える一方だったため、今度は提供に手間のかかる商品を値上げしました。
そして、利益を十分に確保したで今度はアルバイトの募集を追加でかけました。
地域では時給1000円のところを、1500円で募集をすることで、今までは5、6名といった少数の応募の中から選ばないといけないところが、60名の応募が来ました。そこから良い人材を選ぶことにより、教育にかける時間がなくなるだけでなく、顧客満足を狙うことが出来ます。
そして、半年後には時給を2000円で募集するようにしています。
これは、ライバルが新規出店で市場調査をしにきたときに、サービスレベルの差で同じ土俵に乗れないようにすることを狙っています。
そうなると同じ商品を出すにも薄利多売店になるしかない、という戦略です。
サービス業にこそチャンスがある
日本ではサービス業は、賃金も安くマニュアルで動くだけの仕事になりつつあります。
また、自分で考えて動かないといけないサービス業でもレベルは低下しています。
原因は、人材を「経費」と考え、最低賃金で何とかしようという考えが経営者にあるからでしょう。
それだけに、「ちゃんとお金を支払いたい層」は行くお店がどんどんなくなっています。今後サービス業で勝つにはこの層を狙うべきでしょう。
ちなみに、あまり誰も考えていないようですが、この層が日本にはかなり多いのです。
この投稿が経営者の方、サービス業の方の次の一手の参考になればと思います。
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