-経営感覚がなく、業務の遂行は非常に速く正確な人
-目的が分からず、とにかく目の前の仕事をドンドンこなせる人
-戦略が立てられないのに戦術がうまい人
これらの人のことは私は「仕事がうまい人」と言っています。
そして、こういう人が経営者やリーダーになるとチームが路頭に迷います。
「え、でも社内で仕事が出来る人が上司になったほうが良いんじゃないの?」
という声が聞こえてきそうです。
もちろん、誰でも正確な手段でバリバリ仕事をこなすことは良いと考えるでしょう。
私もそう思いますし、間違いではないと思います。
念のため確認ですが、
経営感覚や戦略、目的の理解とは全体像を把握する力であり、ゴール、もしくは中間地点の正しい位置を決める能力です。
そして、業務や仕事、戦術を遂行することは、いわば実務に長けた能力と言えます。
両方が優れているに越したことはありませんが、大事なのは戦略や目的を正しく決める能力の方であり、これは個人でもチームでも同じことが言えます。
少し具体的に掘り下げます。
私は今、シドニーから大阪に向かう飛行機に乗りながらこのブログを書いていますが、今回のゴールは大阪であり、手段は飛行機を使っています。
ここでは、
目的は大阪に向かうこと
業務遂行手段は飛行機で向かうこと
このようになります。
大阪でのビジネスをするために大阪に向かっていますので、大阪に行くことは絶対です。
もし私が、大阪でビジネスをするのにブラジルを目的地にしていたらどうでしょう?
もしくは、飛行機で向かわずにシドニーからボートで向かっていたらどうでしょう?
笑い話のようですが、実際ビジネスではこのようなことが日常茶飯事に起こっています。
戦略と戦術、目的と手段の話をするときに例題として出される問題をしてみましょう。
- 目的は良く、手段も良い
- 目的は良いが、手段が悪い
- 目的は悪く、手段も悪い
- 目的は悪いが、手段は良い
これらを良いと思った順に並べ替えてください。
1分ほど画面をスクロールせずにかんがえてください。
いかがでしょうか?
正解は
①→②→③→④
です。
①→②→④→③
にされた方がいたかもしれません。
なぜ「目的も手段も悪い」より「目的が悪く手段が良い」方がダメか。
それは「行き先を間違えているのに飛行機で向かってしまうからです」
例えば私が、大阪に行かなくてはいけないのにブラジルに飛行機で向かっていてはどうでしょう?
1時間後に気づいたときにはブラジルまでノンストップですね、そこから大阪に向かうのに費用と時間がさらにかかります。
しかし、ボートでブラジルに向かおうとしていたら1時間後はおそらくシドニー近郊の海、もしかすると湾内にいるでしょう。
つまりは引き返せます。
気づいてもらえたと思いますが、経営者感覚がなく、目的が正確に設定できないが、業務遂行が上手な“仕事の上手い人”はかなり危険といえるのです。
ここで重要なのは経営者やリーダーの戦略、目的地の設定です。
これが間違ってしまうと全員が路頭に迷うということも起こります。
戦略や目的地を決めるために重要な要素が「企業理念」「チームのポリシー」「大義名分」といった向かうべき場所をしめした指針になります。
形だけの会社もあれば本気で考えている会社もありますが、皆さんは素直な気持ちでシンプルに「役立ちたいこと」を具体的な言葉にするといいでしょう。
既に会社に理念があってもチームの理念を作ることはできるでしょう。
何度も言いますが、絶対に重要なのが目的地を間違えないようにすることです。
そして、これは走りながら考えにくいものです。
何かを始めるときは目いっぱいの時間を使い、目的地を作ること。
そして、もうひとつ。
最初の設計の段階で少しだけでも方向転換できる余裕を持たせること。
これが出来ていればスピードは遅くても大きな失敗はしないでしょう。
時代を読みながら、方向を変えながら、目的地にたどり着く、仕事がうまいだけの人ではこれはできません。
経営が出来る人を目指しましょう!
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