迷っているなら、大企業に入ってください ――大企業は「安定」ではなく「プラチナチケット」です

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迷っているなら、大企業に入ってください ――大企業は「安定」ではなく「プラチナチケット」です

PodcastとYoutubeで、リスナーの方から来た質問にお答えする形でそれぞれ台本なしの経営トークを展開していますが、こちらでは並行して連携をしたコラムをまとめます。

フリートークでわかりにくいことなど文字にまとめて読みやすいようにしていますのでこちらも経営の参考にしてください。

「大学3年生の男です。就職について質問があります。大企業と中小企業、どちらに勤めたらいいですか?」

シンプルですが、多くの学生さんや、その親御さんが一度は悩む問いだと思います。

先に結論を申し上げます。

入れるのであれば、大企業です。

ただし、その理由は「安定しているから」ではありません。

順番にお話しします。

大学は、「なんとなく」行く場所ではありません

まず前提として、少し厳しいことをお伝えします。

日本では、小学校、中学校、高校と進み、そのまま大学へ行き、3年生から就職活動を始める。

これが当たり前のルートになっています。

ですが、世界的に見ると、これは少し特殊です。

私がオーストラリアにいた頃、さまざまな国の人たちと一緒に働きましたが、高校を卒業してすぐに就職し、やりたいことのためにお金を貯めてから大学に行く、という人は珍しくありませんでした。

やりたいことがあるから、そのために大学へ行く。

本来は、この順番です。

つまり、大学に入った時点で「こうなりたい」という気持ちがあるべきなのです(もっとも、私自身もそうではありませんでしたが)。

なんとなく大学に行く。
大学に行けなかったから、なんとなく専門学校に行く。
専門学校を出ても、その分野の仕事に就くつもりはない。

そういう人の方が多いのが現実だと思います。

ご相談者の方も、大学3年生の時点で「大きい会社か、小さい会社か」で迷っているということは、まだやりたいことが定まっていないのだと思います。

17歳で道を決めることが、正解とは限りません

一方で、高校生のうちに進む道を決めることが、必ずしも幸せだとは思っていません。

17歳、18歳で大学を選ぶときに見えている世界と、22歳、23歳で実際に働き始めてから見える世界は、まったく違うからです。

「こんな仕事があったのか」

社会に出てから、そう思うことは誰にでもあります。

だからこそ大事なのは、どこにいても通用する力を磨いておくことです。

これを、ポータブルスキル(持ち運べるスキル)と言います。

その会社でしか通用しないスキルは、会社を出たら持ち運べません。

ですが、営業力や、細かいところで言えばタッチタイピングのような技能は、どこへ行っても使えます。

ポータブルスキルを鍛えながら、やりたいことを見つけ、見つかったらそこを突き詰めていく。

それで十分だと思います。

やりたいことが決まっていないなら、大企業です

では、なぜ大企業なのか。

理由は、やりたいことが見つかったときに、選べる道が圧倒的に広いからです。

やりたいことが見つかれば、いきなり独立するのか、その分野に近い会社に転職するのか、いくつかの選択肢が出てきます。

そして、転職には「流れやすい方向」があります。

例えば、従業員3万人の上場企業に勤めていた人が、従業員50人の中小企業に転職しようとしたとします。

給与などの条件はさておき、おそらく採用されると思います。

ですが、その逆は簡単ではありません。

中小企業から大企業への転職は、信頼を得るまでに時間がかかります。

一度の面接で決まることは、まずないと思います。

大企業から中小企業へは行けても、中小企業から大企業へは行きにくい。

やりたいことがまだ決まっていない人ほど、後から選べる立場を確保しておくべきなのです。

もちろん、誰もが名前を知っている会社に入れるのであれば、なお良いと思います。

「大企業は安定している」は、理由になりません

ここで誤解していただきたくないのは、私が大企業をすすめるのは、安定しているからではない、ということです。

「大企業は安定しているから入りなさい」と言う親御さんは多いと思いますが、それはまったく違います。

大企業でも、潰れるときは一瞬です。

そういう例は、実際にいくらでもあります。

安定か、不安定かで就職先を選ぶ時代ではありません。

大企業に入るのは、いわばプラチナチケットを手に入れるためです。

そう割り切って入るのであれば、いいと思います。

ただし、大企業に入ったから勝ち組、という話ではありません。

大企業には、大企業なりの大変さがあります。

どの部署に配属されるかは、自分では選べません。

つまらない仕事も多いと思います。

部署ごとに垣根があり、この部署はこれだけ、あの部署はあれだけ、と役割が分かれています。

会社の全体像は見えにくく、社長と話したことがないどころか、直接見たことがない社員も珍しくありません。

社内政治も、中小企業とは比べものにならないほどあります。

ですが、それを知ること自体にも意味があります。

チケットを手に入れるために、列に並んでいる。

そう考えればいいのだと思います。

3年後に強いのは、中小企業の若手です

一方で、中小企業には中小企業の明確な強みがあります。

番組の中でも、ナビゲーターの佐本さんは中小企業派でした。

自分がやりたい仕事に早く就けたこと、経験を積むスピードが速かったことが理由です。

これは、その通りだと思います。

実際、入社して3年、25歳くらいまでの段階で比べると、大企業の若手よりも、中小企業で3年働いた若手の方が、仕事の力は強いことが多いです。

垣根なく、さまざまな仕事を任されるからです。

つまり、大企業と中小企業は、どちらが上かという話ではなく、手に入るものの種類が違うということです。

やりたいことがまだ見えていないなら、大企業で選択肢を確保する。

やりたいことが見えているなら、中小企業で一気に経験を積む。

そういう考え方もできると思います。

中小企業の経営者は、大企業を前に引け目を感じる必要はありません

この番組は、中小企業の経営者の方にも多く聞いていただいているので、あえて経営者側の話もしておきます。

若手が早く成長できることは、中小企業の大きな強みです。

ただし、入社した社員が、ずっと会社にいてくれると思わない方がいいと思います。

だからこそ、採用の段階で、本人がどう成長したいのか、最終的にどういうタイミングで辞めるつもりなのか、そこまでしっかり話しておくことをおすすめします。

そして、その成長を会社として応援できる形にできれば、さらに良いと思います。

正直なところ、「垣根なく、いろいろな仕事ができて成長できる」というのは、中小企業が大企業に対抗するための就職活動のアピールでもあります。

動かせる金額はまったく違いますし、大企業が同じことをやろうと思えば、やれてしまいます。

それでも、引け目を感じる必要はありません。

現場でどんどん教えていく会社だということを、そのまま見せればいいのです。

インターンでも就職活動でも、面接だけで終わらせず、現場を見てもらってください。

学生の側から見ても、「会社見学をさせてください」とお願いして、断られたり、会議室での面接だけで終わったりする中小企業は、少し疑ってかかってもいいと思います。

入ってほしいのであれば、見てほしいはずだからです。

大企業は、何もしなくても人が集まります。

中小企業こそ、自分たちの現場を見せる努力をするべきです。

まとめると

ご相談者の方へのお答えは、シンプルです。

やりたいことがまだ決まっていないなら、入れるのであれば大企業に入ってください。

それは安定のためではなく、やりたいことが見つかったときに、選べる道を広く持っておくためです。

そして、どこにいても、持ち運べるスキルを磨き続けてください。

一方で、中小企業の経営者の方にも、ひとつ問いかけたいと思います。

「大企業には勝てない」と、自社の現場を見せることを諦めていないか。

人が集まらない理由は、会社の大きさではなく、見せ方の方にあるのかもしれません。

今回は、大企業と中小企業、就職先の選び方についてのお話でした。

現在、私はYoutube、Podcastにて番組を行っています。

そこでは、リスナーさんからの質問にお答えする形で少し泥臭い経営論を台本なしで展開しています。

よろしければそちらもご確認いただければ幸いです。

それでは次のコラムでお会いしましょう。

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