今、都市部を中心に接客レベルが下がっている
私は、クライアント企業の訪問のため、月に1回ほど大阪から東京へ出張します。オーストラリアで仕事をする前は、都内で英会話学校の代表をしていたこともあり、インバウンドの活気に溢れていた都内の様子や、色々な国籍で溢れるシドニー中心部の接客など経験してきました。自身ではオートバイの販売店で様々な県で接客をし、塾をしている企業ではマネージャー職で接客も行ってきました。
そこで、近年ずっと思ってきたことがあり、今回の出張で確信に変わったので皆さんにお伝えしたいと思い、今回のブログの内容にしました。
それは、
「日本の接客レベルは現在過去最低ラインに落ちている」
ということです。
日本は「おもてなし」が持ち味で、接客が良い、サービスレベルが高いことが認知されている。また、日本国内でもほとんどの人がそういう認識でしょう。しかし、東京や大阪を中心に日本の接客レベルはどんどん下がってきていると感じる場面が多く、同じように感じている敏感な経営者が周りで増えてきました。
今回は、何故日本の接客レベルが年々下がっているのか、そしてどうすればこの中で勝てるのか、それをお伝えできればと思います。
接客が不必要になった日本
日本の接客レベルが都会を中心に過去最低に落ちた、ということを述べたのですが、何故そうなったかを考えてみました。
そのキーワードは「不況」「インバウンド」「コロナ」であると考えています。
今は令和ですが、平成はずっと不況が続いたと言われています。景気が良くなった時期もありましたが、リーマンショック、東日本大震災はじめ、コンスタントに続く打撃が長く不況をもたらした原因なのかもしれませんが、接客業にとっては不況の中、生き残りをかけサービスレベルを上げることが多く、その反面、サービスを倍にしても金額を倍にできない状況が自分たちの首を絞めていた状態でした。
そしてやってきたのが「インバウンド」海外観光客の殺到です。
中韓をはじめ、各国から日本に押し寄せて観光地だけではなく、日常生活圏内においても旅行客が多かったことは記憶に新しいと思います。
その中で、接客業では多くの日本人が英語、中国語、韓国語が話せない、しかし、それで商品は売れ、お店には人が来る状態が続き、小規模店を中心に接客をしなくても売れる、またサービスレベルが低くてもリピートしないため、接客を丁寧にやる必要がなくなったと自然にシフトチェンジしてしまった接客業を生業とする企業が増えていきました。
そして、昨今の「コロナによる自粛」です。
オンラインの販売が伸びる一方、お店などBtoCの企業においては顧客と接触をさける傾向が増えました。接客を丁寧にする富裕層向けのビジネスではなく、一般顧客向けビジネスは接客機会も減り、売上低迷により本来の活気を忘れ、そして自粛による接客回数の低下によりレベルは下がったのでしょう。
接客が金額に見合わない過剰なサービスになり
↓
接客をしなくても売れる状態になり
↓
接客をする機会が減り
↓
それが習慣化された
これが私の考える日本の接客業のレベルが下がった流れです。
その中で勝つ方法
もちろん、その中で勝つ方法は「接客レベルを上げる」ということなのですが、忘れてはいけないのはそれに伴い「金額を上げる」ということです。
ただ接客レベルを上げても、商品単価や賃金が見合ってなければまた繰り返しになります。そこで必要なのは勇気をもって金額設定を変えるというものです。
私のクライアント企業の中でも「金額を高くする」というと「お客様が減ってしまうのでそんなことはできない」と言うところが多く、金額を上げるということは何か「悪いことをしている」と感じる場合があるようです。しかし、実は「お金を払ってでも満足をしたい」という層は多く、そういう人たちは上記の流れから行くお店がどんどん減っているという現状があります。そこで金額を上げ、顧客満足度を上げることで強い接客業が出来上がると考えています。
金額を上げるということ
私のクライアント企業の中で接客を伴う業種、例えば飲食店や製造販売などのお店は価格を1.5倍にするということ基準に価格設定を変えてもらう場合がほとんどです。
これは、はじめ勇気が必要な選択となりますが、実は一度上げると世界が変わります。上げた金額によって、広告費用・人件費・余裕資金というように、今まで使えなかったものに使えるようになります。
今回は接客業のことについての記事のため、そこを中心に考えると一番大きい「教育」に時間が充てられます。そして、もし、人件費にまわすとなると、良い人材の確保ということもできます。いずれにせよ、同じ金額で無理をして接客レベルを上げるということは厳しいかもしれませんが、余裕を出すことにより接客レベルは上げることができるのです。
実例をすこしだけ
さて、飲食店をされている私のクライアント企業様では、価格を1.5倍にしました。それによって起こったことは非常に興味深い内容だったためシェアしたいと思います。
今までの金額で飲食店経営をされていたときはどうしても「安くおいしくないライバル店」の存在があり、若者を中心にマーケットを取り合う形になってしまっていました。その頑張りは店の体力を徐々に奪い、赤字が続いていたのです。そこで思い切って金額を上げることにしました。わざわざ同じマーケットで戦うのをやめたのです。すると、今までこられなかった「おいしいものを適正な価格で適正なサービスで」という層のお客様がお店の前に列をなすことになりました。金額を上げてから2ヶ月で売り上げが10倍になるという奇跡的な回復をしました。
そして、上げた金額は人件費に還元されて生きます。アルバイトスタッフさんの時給を今までは最低賃金の1000円前後だったものを1500円にしました。そうすることで、採用時に良い人材を選ぶことができ、そして退職が減り、人材関係の広告費がかからなくなるといった様々なメリットが出てきました。
そして価格を上げたことにより、お客様の質も上がり、お店の経営状態は10倍になった状態から2年経った今もその状態を保っています。
さいごに
日本の接客レベルが非常に低くなっている状態がこれからも続くと私は考えています。もちろん、価格を上げるだけが接客レベルを上げる道ではないと思っています。今回の方法は頭の片隅に置いていただければと思いますし、BtoCの企業でも営業な含め、様々な人と会う機会があるかと思います。そのときに、この内容を理解したうえで接客を行うことで少しの差別化が突破口となることもあるでしょう。
何か他にも良い方法などがあればぜひ、教えていただければと思います。
長くなりましたが、皆さんのお役に立てれば幸いです。
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