何事も極めていくということは大事です。
特に、経営において何かひとつでも尖った、人より突出した要素があるということは非常に重要です。しかし、見落としがちな点が「専門家になったことにより素人の感覚がわからない」という点です。
4月の勉強会はこの「プロとアマの間を行き来する」をテーマとしましたが大事なポイントなのでシェアさせていただきます。
ついつい忘れてしまう「アマチュア時代」の自分
ビジネスに集中し、時間を割けば割くほどできることが増え、そしてスキルもどんどんあがっていきます。
その結果、専門家やプロとして恥じないレベルに自分自身を持っていくことができますが、その副作用として「知らなかったときの自分を忘れる」というものがあります。
例として挙げられるのが、業界の常識をお客さまも知っていると思い込んで話すことや、専門用語を多発することです。
気を付けなくてはいけないのは、その業界やそのビジネスをする前に自分自身どこまで知識があったのか。
その業界に入ったばかりのときに知らないで困ったことや、知らなかった常識や用語などはなかったか、見直す必要があります。
これは専門家になった自分と、専門家になる前の自分を行き来するという一人称の考え方ですが、じっくり考える機会を持つことをおすすめします。
わからなければ直接聞くのもあり
中には、「昔の自分ってどうだったかなぁ」という方もいるかもしれません。
その場合は、直接お客さまとの対話の中で聞いてしまいましょう。
何を考えているのか、何に対して不満を持っているのか、どんなことを解決したいのか。
このような基本的なことを聞くことで、意外と「こういうタイプの顧客はこの悩みがある」と勝手に思い込んでいたなんてことが出てくることがあります。
そうすることで自分自身が忘れていた業界に入る前やその商品を手に入れる前のことを思い出すきっかけになります。
相手の立場からプロとアマを行き来する、これは二人称の考え方と言えるでしょう。
そもそも「アマチュア時代」がない人も
一番簡単なのが過去の自分がどう考えていたかを思い出すことや、実際に聞いていみることですが、そもそも業界的にアマチュア時代がない人もいます。
その代表的なものが「英語業界」です。
英語関係、とくに英会話をはじめとする教育分野では、もともと英語が出来た人たちが教える立場となることが多く、英語が出来ない立場の人の気持ちを“忘れている”のではなく“そもそも知らない”という場合がよく見受けられます。
例えば、ネイティブスピーカーや帰国子女、英語の成績優秀者の人たちが英語を必要とする「今まで英語が苦手だった人たち」の気持ちはそもそも知っているはずがありません。
だから日本ではどこの英語教室に言っても話せるようになる人が出てこない要因になっているのかもしれません。
ではそもそも経験したことない事柄に関してはどうすれば良いのでしょうか。
全く経験したことない場合、「相手に聞く」ということをまずは徹底することも大事ですが、他の分野や自分自身がアマチュアの分野の場合に置き換えて、状況を俯瞰的に見るということが大事になってきます。
例えば、英会話の講師であれば、全然したことないサッカーに置き換えて「ボールも触らせずにいきなり体力をつけるために走り込みさせられたらやめてしまうな」といったように、他分野だったらどうかなどを常に考えてプロとアマを行き来すると良いでしょう。
これが三人称の考え方です。
自分自身と相手だけでなくそれを外から見る自分を意図的に作り上げてしまうという方法は、このテーマだけでなくとも使えますので是非覚えておいていただきたといと思います。
まずは、何より専門用語を多発しないこと、そしてどこまで相手が知っているかを聞くことから始めて見ましょう。
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